「自分なんも喋らんな。病気なん?」

「ちが、ちがいます」

「ああ、あれ? 恐い? そやな、よく言われるんよ、恐いって」

「い、いや」

なんて言おうとして否定したのかは知らんが、まあだれでもそう反応するだろ?

俺はハンバーグ

お姉さんは野菜盛り合わせ

「んで、なんで家出したん?」

驚きすぎてむせた

なんでわかるんだこの人は、と驚いた

 

 

でも夜の10時すぎに家に帰らない子供をみて思いつくのは

塾帰りで家に帰りたくないか

夜遊びするガキか

家出か

なのにその時の俺は塾に行くような鞄を持ってなかったし

遊んでそうなガキに見えなかったろうから

家出だとカマかけてきたんだろう

でも当時の俺はただただ大人のお姉さんすげーって思うだけだった

「家が……色々」

「ふうん、そっか」

 

 

「まあその歳やといろいろあるわな」

「で、どないするん? いつかえるん?」

「……帰りたくないです」

「そりゃ無理やろ。仕事もないし、ってか仕事できる歳なん?」

「15です」

「ギリやな。家もないし金もないやろ?」

「……」

それでも帰りたくなかった

俺にとってあの当時の家はかなり地獄だった

もっと酷い家庭はあると、今ならわかるけど

「一週間もしたら帰りや」

「……はい」

「ほんじゃ、飯食ったら行こか」

「?」

「うち、1部屋空いとるから」