縮こまるお姉さんは可愛らしい

優しく撫でると香るあの匂いで3年前のことを思い出す

「ずっと会いたかってんで」

「ごめんなさい」

「もうどこにもいかんよな?」

「卒業式には帰らなくちゃならないのと、家を借りてるのでそれを解約するのとありますね」

「うん、ここにいたらええよ」

「家賃は払いますから」

「いらんよ、借家ちゃうし」

「結婚資金にでもしておいてください」

「お、おう」

こうして思えばお姉さんは照れ屋だったのだろう

 

 

 

3年前の俺はそんなこと全くわからなかったけど

腕の中でお姉さんはすやすやと寝息を立て始める

こんな日々がこれから一生続くのだろうと考えたら

なんとも言えない喜びに包まれて

幸福の中で眠りについた

それは春が訪れる

桜が咲く前のこと