「ああ、それは……なんでもない」

お客様が視線を落としてはぐらかす。

肩を落として戻ろうとしたら、お姉さんが仁王立ちだった。

「余計なこといいなや」

とても怒っているようだった。

お姉さんは俺の頭にぽんと手を乗せて

「帰ったら話すわ」

と言ってくれた

そのあとも仕事は続いたが、どことなく仕事に身が入らない

といっても、ミスをするような仕事内容でもないからいいけど

お客さんが話しかけてきてもぼーっと返事を忘れてしまうくらい

家に帰るまで気が気じゃなかった

 

 

お姉さんの話っていうのは十中八九俺が知りたいことだろう

お姉さんが好きな人のことだろうから

家に帰り、お風呂にも入らずお姉さんは飲み物を用意する

コーヒーを頼んだ

「飲めんくせに」

「飲めるようになります」

「ええやん、飲めんでも」

「嫌です」

「子供やなあ」

子供扱いされてついむくれてしまう

「はい、どうぞ」

差し出されたコーヒー