「なんか欲しいもんある?」

「欲しいもの?」

「漫画でも食べ物でも用意するから。高いもんは勘弁してほしいけどな」

「じゃあ」

俺はこの時も知らなかったけど

殴られすぎると熱がでるらしい

だから思考があやふやになって

突拍子もないことを言ってしまうようだった

「お姉さん」

言って後悔した。なんてことを言うんだ俺は、って

 

 

「な、なんでもないです」

「うちは奥やからな」

お姉さんがベッドに潜り込んでくる

一緒に眠った経験もあるわけだけど

その時とは雰囲気が違って

俺は借りてこられた猫のように固まった

「こんな」

お姉さんの手が頭に触れる

いつも俺がそうするように

優しく髪を撫ではじめる

「こんなぼろぼろになってもうてな」

「ごめんな」

別にぼろぼろになるのもぼこぼこになるのも

 

お姉さんを守れたならそれでよかった

お姉さんが喜んでくれてるし、少しでも役に立てたみたいだし

お姉さんが頭を撫でてくれて、とても心地いい

「ほんで」

「どないしてほしいん?」

それに答えられるわけもなく

恥ずかしくなって顔を反対側へ背けた

「なんてな、はは」

「それはちょっと卑怯やな」

お姉さんの手が首の下に移動する

それこそ犬猫のようにそっと撫でられて