「なあ、なにしとん?」

目をまた伏せて震えていた

今からコロされるんだと思うぐらいの勢いで恐かった

「大丈夫やって、なんも恐いことせんから」

悪役の台詞だと思ったが、今にして考えれば悪役でなくてもいいそうな台詞

当時の俺には恐怖に拍車がかかり、また震えた

ごめんなさい、と呟いた

「つまんね」

開放されると思ったが

「お金ある?」

すぐにこれがカツアゲだとわかり恐くなった

 

 

あの時はとにかく臆病だった

財布には親から抜いた1万円(電車代でちょっと減っている)と

自分のお小遣いの数千円

けど、これを失くしたらもうどうしようもなくなる

金がなくてもK察に行けば帰れるとか、当時は思いつかなかった

そのままホームレスになって死ぬんだと思った

ないです、と答えた

「嘘はあかんて。な? 財布だせや」

駅前の広場は他にもたくさん人がいたけれど

誰も助けてくれる人はいなかった

ドラマでよくある光景だ

でもそれは本当なんだな、と思った