店について開店作業

とりたてて難しいことがあるわけじゃないので忘れてはいない

その日も疎らにお客さんが入っていた

何組目のお客だったか、中盤ぐらいでその人はきた

「よお」

やけにいかつい顔の人だった

「なんやねん」

少なくともお姉さんはその人を嫌っているようだった

「この前の借り、返してもらいに来た」

「自分が勝手にやったんやろ」

「でも助かったろ?」

席に座ったのでいらっしゃいませと通しを出す

「おお、この前のガキンチョか? 随分変わったなあ」

「?」

「なんだ覚えてねえのか。助けてやったろ?」

なにを言ってるのかさっぱりわからなかったのでお姉さんを見やる。

「不良に絡まれとった時、こいつが追い払ってん」

なるほど、それであの3人は逃げたのか。

そりゃこんな顔に睨まれたら逃げたくもなる。

 

 

 

「ありがとうございました」

「気にすんな。お陰でこいつにいいことしてもらえるからな」

「誰がするか」

「本気だ」

ガキでも解る三段論法

俺を助けるお姉さんを助ける強面

それをネタにお姉さんを脅迫

原因は俺

 

 

 

「あの」

「ん? どうした、坊主」

「……困ります」

「……あ?」

「そういうの、困ります」

「おいガキ」

強面が胸ぐらを掴んで引っ張り上げる

なんでこんなこと言ってるんだろうと後悔

「おいオッサン、その手離さんとキレるで?」

お姉さんがドスの低い声で強面に言う

でもそれもこれも嫌だった

俺が子供だからこうなったんだ